一般的にブル・ベア(レバレッジ・インバース)型ファンドは長期投資に向かないと言いますが、実データに基づいて解説されているケースが少ないので備忘録として。
今回は日経平均株価の上昇・下落に連動する【1570】(NEXT FUNDS)日経平均レバレッジ上場投信と【1571】(NEXT FUNDS)日経平均インバース上場投信を元に調べてみました。
※今回元にしたETFの特徴などについては、過去記事の「日経平均レバレッジ/インバース・インデックス指数ETFを活用してみる」をご参考ください。
まず、日経平均株価の1年チャートは以下のとおり。
■日経平均株価1年チャート
→特徴で見た場合、昨年11月の衆議院解散までは8,000円〜9,000円で推移し、政権交代後に10,000円超え、3月に12,000円超え、5月に14,000円超えし、現在は15,000円を意識した流れとなっていることが分かるかと思います。
このチャートを見ても、政権交代の意味があったような気がします(笑)
また、各基準月での上昇率もこのようになっています。
基準月 | 上昇率(%) ※2012年11月を起点とした場合 |
上昇率(%) ※前基準月を起点とした場合 |
2012年11月 | 100% | 100% |
2013年1月 | +111% | +111% |
2013年3月 | +133% | +120% | 2013年5月 | +155% | +116% | 現在 | +166% | +107% |
次に、【1570】(NEXT FUNDS)日経平均レバレッジ上場投信株価の1年チャートは以下のとおり。
【1570】(NEXT FUNDS)日経平均レバレッジ上場投信株価1年チャート
→日経平均株価のチャートを入れ替えても、おそらく気づかないほどそっくりなことが分かるかと思います。
株価も、昨年11月の衆議院解散までは4,000円前後で推移し、政権交代後に5,000円超え、3月に6,000円超え、5月に9,000円超えし、現在は10,000円を意識した動きとなっています。
また、各基準月での上昇率もこのようになっています。
基準月 | 上昇率(%) ※2012年11月を起点とした場合 |
上昇率(%) ※前基準月を起点とした場合 |
2012年11月 | 100% | 100% |
2013年1月 | +125% | +125% |
2013年3月 | +150% | +120% | 2013年5月 | +225% | +150% | 現在 | +250% | +111% |
そして、【1571】(NEXT FUNDS)日経平均インバース上場投信株価の1年チャートは以下のとおり。
【1571】(NEXT FUNDS)日経平均インバース上場投信株価1年チャート
→日経平均株価のチャートをちょうど反転したような動きであることが分かるかと思います。
株価も、昨年11月の衆議院解散までは6,000円前後で推移していましたが、政権交代後に5,000円を下回り、3月に4,500円、5月に4,000円、現在は3,500円を意識した動きとなっています。
また、各基準月での下落率もこのようになっています。
基準月 | 下落率(%) ※2012年11月を起点とした場合 |
下落率(%) ※前基準月を起点とした場合 |
2012年11月 | 100% | 100% |
2013年1月 | -17% | -17% |
2013年3月 | -25% | -10% | 2013年5月 | -34% | -12% | 現在 | -42% | -12% |
【1570】(NEXT FUNDS)日経平均レバレッジ上場投信は日経平均株価の変動率の2倍、【1571】(NEXT FUNDS)日経平均インバース上場投信は日経平均株価の変動率の-1倍で連動する特徴がありますが、表を見比べると開きがあることに気づくかと思います。
これは、相場が上下を繰り返すことももちろんですが、複利効果が発生しているためでもあります。
TOPIXレバレッジ(2倍)指数は、変動率がTOPIX(東証株価指数)の日々の変動率の2倍となるように算出されているため、前営業日と比較するとその変動率はTOPIX(東証株価指数)の2倍となりますが、2営業日以上離れた期間での比較においては、複利効果により、TOPIX(東証株価指数)の変動率の2倍以上又は未満となる場合があります。
※紹介されている内容はTOPIXですが、今回の日経平均株価連動型だけではなくブル・ベア(レバレッジ・インバース)型ETF全体の特徴となります。
※インバース型の場合は、-1倍以上又は未満となります。参考:東京証券取引所「2.インバース型指標の特性」
この複利効果が一般的にブル・ベア(レバレッジ・インバース)型ファンドは長期投資に向かないと言われる大きな要因です。
そのため、長期で見た場合は日経平均株価に直接連動するインデックスファンドで運用した方が効率が良いと結論付けられる事が多いです。
このように見た場合は確かに長期向きではないかもしれませんが、上記2ETFについては別の見方もあります。
・参考:【1570】(NEXT FUNDS)日経平均レバレッジ上場投信「平成25年5月期決算短信」
当ファンドが保有する金融商品の種類は、デリバティブ取引、コール・ローン等の金銭債権および金銭債務であります。
(中略)
デリバティブ取引関係種類:株価指数連動先物取引買建
※インバース型の場合は、株価指数連動先物取引売建となります。参考:【1571】(NEXT FUNDS)日経平均インバース上場投信「平成25年5月期決算短信」
そもそもETFは、裏付けとなる資産をファンドが保有しているという特徴があります(※)。
上記2ETFの場合も、日経平均株価先物取引をそれぞれ買建て・売建てで保有しているため、このETFを保有している投資家は間接的に先物取引をしていると言えるとおもいます。
通常の先物取引に比べるとハイリターンとは言えませんが、「追証」や「決済日」が無いこと、少額で購入できることから、ローリスクで先物取引をできるとの解釈もできるかと思います。
とは言え、日経平均株価先物取引も長期向きかというと意見が分かれるでしょうし、相場の動きによっては長期投資ではなく塩漬けになってしまうこともあるでしょう。
未来のことは分かりませんが、今日の参議院選挙の結果を受けて今後も株価が上がり続けるのか、それとも今が頂上でこれから下がっていくのかの判断は目安の一つになるかと思いますので、ブル・ベア(レバレッジ・インバース)型ETFを資産運用に活用することは方法の一つとして有りかなと思っています。
※直接の裏付け資産を保有するのではなく、海外ファンドが発行する社債(リンク債券)で運用されているETFが一部存在します。