TPPの交渉参加が決定したので、これからの暮らしへの影響を調べてみた〜概要編〜

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既にニュース等で報道されているとおりですが、3月15日にTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への交渉参加が決定されました。
昨年の記事から変更された点があること、情報が錯綜しているので備忘録として。






まず、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の概要については、過去記事のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)のメリット・デメリットをご参考ください。

つぎに、今回の交渉参加に関する声明について、安倍首相のfacebookより↓

国論を二分する課題に対して、国益を考えながら結論を出す。これが政治のあるべき姿です。

TPP交渉に参加すべきか否か。本日、私は、交渉に参加するという決断を下しました。

世界の国々が開放経済へと舵を切る中、日本だけが内向きでは成長は望めません。
そうした経済的メリットに加えて、同盟国たる米国、そして自由、民主主義といった価値を共有する国々と、アジア太平洋地域の新たなルールや経済秩序を作り上げる。これは、日本の安全保障にとっても、この地域の安定にも大きく寄与することは間違いありません。

さらに、TPPのルールは、その先にある東アジア地域包括的経済連携(RCEP)やアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)といった、より大きな構想のルール作りのたたき台になります。
この機会を逃すということは、日本が将来にわたって、世界のルール作りから取り残されることに他なりません。

来たるべき「アジア・太平洋の世紀」に、日本が中心的役割を果すため、正に「国家百年の計」を考えて、決断しました。

様々な懸念や不安を抱いている方々がおられることは、当然です。
先の総選挙での国民の約束は必ず守ります。
農村やふるさと、国民皆保険など、「日本の国柄」を私は断固として守ります。
— 市村 道英さんと一緒です。

→衆議院解散後の総選挙の自民党公約の一つとして、この「聖域なき関税撤廃を前提とする限り反対」が掲げられたことは記憶に新しいかと思います。
そして、この公約を建前に交渉参加へ表明したことが、昨年の記事時点との一番の大きな違いで、今後の日本を左右する一番重要な点かと思われます。

そして、この交渉参加への表明を受けて、大手マスコミを中心に各種メディアで取り上げられていますがバラバラな部分があるため、自民党決議内容を引っ張ってみました。
・引用:自民党ホームページ【政策トピックス】TPP 対策に関する決議

■我が国が TPP 交渉に参加する場合、攻めるべき、また守るべき国益

第1班

11.一時的入国
 日本人ビジネスマンが外国に入国・一時的に滞在する際の手続の迅速化・簡素化・法的安定性を増進するべき。
18.制度的事項
 協定の運用等の政府間協議機関の設置により、ビジネス環境の向上につなげるべき。
20.協力
 協定の合意事項を履行するための国内体制が不十分な国に対する税関手続き、知的財産権保護等の技術支援や人材育成といった分野での協力を通じ、日本企業のビジネス環境整備につなげるべき。
21.分野横断的事項
 既に交渉が完結しているといわれる中小企業による協定利用促進の分野は、我が国の中小企業にとっても有益な内容を含むものと考えられるが、他の分野の内容は不明であり、今後慎重に対応していくべき。

第2班

○ WTO協定でも合意のある分野については、日本が既に約束している高いスタンダードを各国に求めていくという観点が重要。
2.原産地規則
 日本企業が成長著しいアジア太平洋地域において効率的な域内のサプライチェーンを構築できるよう、利便性の高い原産地規則とすることを目指すべき。
7.政府調達
 我が国は既にWTO政府調達協定を締結して、国、地方の公共調達を広く開放しており、同協定未参加の他のTPP交渉参加国に対して我が国として積極的に開放を求めるべきである。なお、TPPにおいては、政府調達の対象機関及び基準額等について公平性が確保されるべき。
12.金融サービス
 かんぽや共済について、何らかの制度変更等を求められる場合には留意が必要である一方、民間保険会社等金融機関の海外進出に当たっての外資規制等参入障壁の撤廃を図るべき。
15.投資
 ISDS条項について、日本企業が海外進出する際には国益となり得るが、条項が入る場合には、濫訴の防止や審理の透明性、対象限定等にかかる規定を置き、適切な利用がされるよう求めるべき。

第3班

4.SPS(衛生植物検疫)
 WTO・SPS協定上認められている権利が損なわれないようにするべき。残留農薬・食品添加物の基準、遺伝子組換え食品の表示義務等、食の安全・安心に関わる議論は、二国間で協議される可能性も含め、しっかりと議論の推移を見守る必要がある。
17.労働
 途上国において、貿易等のために自国の労働基準を緩和して物品を生産する等のいわゆる労働ダンピングへの対応をしっかり行うべき。

第4班

1-1.市場アクセス(農業)
 農林水産業、農山漁村は、国民の安全・安心な生活に不可欠な、食料安全保障確保、多面的機能発揮という重要な役割を有している。このため、農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう、関税撤廃することなく、除外又は再協議の対象とすること。重要品目をしっかりと守っていく必要がある。
16.環境
 これまで我が国が締結しているEPA・FTAでは、貿易や投資の促進を理由として環境基準を緩和しないことが規定されているものが大宗であり、この点注意が必要であること。環境分野は、日本の強みを発揮できる分野である。我が国産業界が高い国際競争力を持つ環境物品・サービス分野において輸出・投資が促進されることは我が国の国益につながること、協定に参加する国々全体の環境基準が底上げされれば「地球益」になることから、ルール作りに積極的に取り組むべきではないか。過剰漁獲を招く漁業補助金を禁止すべきとの議論があると聞いているが、漁業補助金については、乱獲防止・子々孫々にわたる資源の持続的な利用、水産業・漁村の多面的機能の発揮、更には震災復興にも不可欠なことから、国としての政策決定権を維持すること

第5班

○ 総じて「攻め」の分野が多く、以下を踏まえつつ、我が国の国益をしっかりと主張していくべき。
1-2.市場アクセス(工業)
 我が国にとって利益となる大切な分野であり、積極的に相手国の関税や貿易障壁の撤廃を要求すべき。
1-3.市場アクセス(繊維)
 積極的に障壁の撤廃を要求すべき。
5.TBT(貿易の技術的障害)
 相手国に貿易の障害となる規格・認証がある場合は、撤廃を要求すべきである一方、我が国の歴史的・文化的背景のあるような安全基準、環境基準等はしっかり守るべき。
8.知的財産
 高い水準の知的財産保護制度を有する我が国の制度を途上国に拡げることや、知的財産(営業秘密を含む)保護強化のための取り締まりの実効性を高めること。地理的表示やフォークロアなどの新しい分野については、十分な検討が必要である。
9.競争
 まずは高いレベルでのルール構築を目指すべき。ただし、国営企業に関するルールについては、我が国の独立行政法人等の扱いがどのようになるのか等について十分留意するべきである一方で、今後、国営企業のある国へ日本企業が進出する上で競争条件を確保することにもなるため、攻守両面にわたり十分に検討すべき。
10.越境サービス
 我が国がより進んでいるサービス貿易の自由化を目指して積極的な議論が必要である一方、ネガティブリスト方式の活用に当たっては、守るべきサービス産業分野をしっかりと検討すべき。
13.電気通信
 我が国にとって強い分野であり、積極的に障壁の撤廃を要求すべき。
14.電子商取引
 爆発的な成長が期待される電子商取引の分野について高いレベルの内容を目指し、我が国企業にとって有利となる電子商取引環境の整備に努めるべき。

→個人的に気になった部分は赤で強調してみました。
農業については、「聖域なき関税撤廃を前提としない」との内容を含んだ内容となっており、漁業についても現行の制度を継続させる意味合いとなっています。
さらに細かい点について、上記決議内容にチーム毎のとりまとめもありますが、情報が多いため各区分ごとに改めて調べてみたいかと思います。






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